MAGAZINE

INTERVIEW
La.mamaリアルタイムクロニクルvol.27
ー ヒカシューとLa.mamaー
La.mamaは2022年5月で40周年を迎えた。名前の通り、いつのまにか多くのアーティストや関係者にとって、普段意識せずとも心の片隅で安心をもたらしてくれる“母”のような存在だ。〈La.mamaリアルタイムクロニクル〉では「La.mamaで過ぎた時間を振り返り、未来に積み上げていくための特集企画」と称して、アーティスト総勢40組あまりに話を聞いた。中には当時La.mamaで対バンしていたアーティスト同士もいれば、同じステージに立ってみたかった憧れのバンドまで、この場所で生まれた様々な関係性が見える。花が咲き、散っては葉となりまた花が咲く大木のように、今日も休まず文化が芽生え続けているLa.mamaの未来をこれからも臨みたい。だからここで過去を振り返り、その年輪を捉えておこう。記事は12月まで随時更新予定。vol.27ではヒカシューの巻上公一が登場。(text:柴田真希)
ヒカシューさんは、この連載の中で一番昔からLa.mamaに出演されているアーティストだと思います。
巻上公一(以下:巻上):僕は1974年にニューヨークのLa.mama劇場に出演しました。日本では恵比寿にあった前身の頃から出演していますね。
La.mamaの前身は「ショーボート」という名前でプロミュージシャン向けのコンセプトで営業されていたと聞いています。La.mamaとしては1982年5月10日から今の場所で営業開始しましたが、是非、La.mama初期のお話を聞かせていただけますか。
巻上:1982年7月15日に出演しました。La.mamaの初期の初期ですね。それから沢山の企画をしてきました。ヒカシューで何回、出演したでしょう。コント赤信号との連夜では、大喜利までやりました。
そんなことまでされていたとは!コント赤信号の小宮孝泰さんとは、高校の同級生だとか。M.C.コミヤ名義の企画版『プリーズ・コミヤ・ドント・ハーテム』はヒカシューがプロデュースですし、コント赤信号の劇団に巻上さんがゲスト出演されていたり、その交流についてはまた別の機会に聞かせていただくとして……。巻上さんとLa.mamaといえば、1993年から2000年代半ばまで開催された「コブラ」*を思い浮かべる方も多いかと思います。
編注:プロンプター(指揮者)が、記号が書かれたカードとハンドサイン等を用いて腕を振り下ろすことで、10人前後の演奏者に指示を出すゲーム形式の即興演奏システム。巻上がプロンプターを務めていた。(参照:https://jazztokyo.org/reviews/live-report/post-71634/)
巻上:月例企画の『John Zorn’s Cobra 東京作戦』は、文化的に大いに意義があったと思います。ニューヨークのLa mamaからエレン・スチュアートも来ましたね。
今では巻上さんがプロデューサーを務める『JAZZ ART せんがわ』で恒例となっていますが、当時は日本に上陸したばかりということで、「コブラ」の日本普及に大きく寄与したイベントがLa.mamaで開催されていたんですね!
巻上:La.mamaにはずっと関わり続けてきました。はたのさん(社長)の忍耐も素晴らしい。感謝しています。
河野太輔(La.mamaブッキングマネージャー)より
巻上さん、素敵なコメントをありがとうございます。
恥ずかしながら、恵比寿に前身があったということを今知りました。今度お話を聞かせてください。これまでもPOLYSICSやLillies and Remains、アーバンギャルドなど、様々な組み合わせでご出演いただき、ヒカシューの対バンはいつも想像に堪えることがありません。
コブラもキャスティングの段階から実に魅力的で、今思うと巻上さんの携わってきたものから即興音楽の可能性や面白さを学んできたような気がします。
社長もLa.mamaもまだまだ元気ですので、これからも宜しくお願い致します。
巻上公一 MAKIGAMI KOICHI vocalist songwriter producer
歌、即興演奏、作詞作曲、演出、俳優、プロデュース
静岡県熱海市生まれ、在住。
ヒカシューのリーダーとして1978年から現在に至るまで作詩作曲はもちろん
声の音響voice performanceやテルミン (という電子楽器)、
口琴(こうきん)を使ったソロワークやコラボレーションも精力的に行っている。
類いまれな歌のセンス、声の可能性の追求、
斬新な切り口と諧謔精神を備え、
歌謡曲から歌ともつかぬ歌まで、そのパフォーマンスは縦横無尽且つ自然体。
http://www.makigami.com/

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